坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

あこがれのオブラック

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カンタル、ロゼール、アヴェロン県はフランスの中でも超田舎の人口過疎地帯なのだが、オブラック(Aubrac)はその3県の境界に位置する田舎中の田舎。その中でも私のお気に入りはナスビナル(Nasbinals)村(ここの教会はル・ピュイからのポルトガルのコンポステルに向う巡礼路にあるので時々知っている仏人がいる)、サントウルシーズ(Saint-Urcize)の辺りで、写真のごとく何もない。地方の一般的観光地と言えば上記の教会とお城が一つ(お金持ちにはにミシェル・ブラの超高級レストランがあるが、、、)。

普通の人は何をするでもなく、牛の群れが移動するのやトビが空を旋回するのを眺めたりして時間を過ごす。山歩きとかマウンテンバイクとかもできるが段差が少ないのでスポーツマンには不向き、釣りもできるが浅瀬の狭いベス川しかないからこれも大漁を自慢したい向きには不具合。「釣り」が言い訳でここにいるとしか言いようのないような釣り人に出会う。つまりかなりの変人向きで、普通の観光客はとうていよりつかない。でも宿泊施設の数が限られているから1年近く前から予約しないと民宿等は一杯と言う不思議スポットなのだ。

Mさんが借りたのは右の写真のビュロンと言われる牛飼いが放牧中に寝泊まりした小屋に手を入れたもの。ガソリンの自家発電とボンベのガスがある。石造りの魅力的な建築だが、牛飼いがいなくなって多くのビュロンは崩壊するばかり。Mさんは買って手を入れようとしたのだが、厳しい山村ならではの掟が今もって存在。他所ものMさんには全くチャンスがない。私もこの地で骨を埋めるのも悪くないというほどの思い込みがあるのだが、農村の寡婦とでも結婚しない限りその見込みはなさそう。しかしこれはパリでリッチなパトロンを見つける方がまだ可能性が高いほどの話。だからオブラックは私のあこがれの地なのです。