坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

人間嫌い

パリに帰って街を歩く人間を見ていると、オブラックで牛の頭数を数えていた頃が本当に懐かしく思う(たった2週間前だが)。実は殆ど人に会っていない。幸いにして「ご飯を食べにきたら」と言ってくれる人が時々いるので、そういう席で一度に何人もの人とに会い話す。だから平均すれば何人かの人には会っていることになるが、この孤独癖は田舎への「遠征」中のグループ生活の反動とも思えるが、やはり本性らしい。

というわけで最近は読書。今日読んでいた本(実は昨年の誕生日のプレゼント)に「亡くなった人の存在に神の目を注ぎ、海女が貝から真珠を取り出すようにそれを祝福するのは詩人の仕事」とあったが、詩人でない私は昔パリに来たときにアトリエに案内しジャクリーヌに会ったことを覚えているというF氏のメールをとても嬉しく思った。「覚えている人がいる間はその人は生きている」というのはアフリカの何処かの諺だったと思うが、フェースブックなるものに手を染め、毎日一行メッセージ(この世界では文章を書かないらしい)の洪水にさらされ、バーチャルな世界のはかなさを実感するかぎり。