坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

忙しい安息年 ー 日本篇

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日本に着いてもう2週間にもなる。個展まで日があるので、東京での知合いの展示もあるし、1週間ほど遊んでから準備と思っていたのだが、額やマットを注文し(かつ4月の南仏の展覧会で金プチの派手な額にデッサンをいれてもらったら不思議に絵にマッチしたので、またちょっと変わった額を探したり)、額装をし、また案内状を送ったり、、、それに介護ホームの母親の顔を見に行くと1日があっという間に経つ。
到着早々画廊に顔を出したら「予定通りベランダにインスタレーションを」と釘を刺され、作品設置予定もそのためオープン1種間前(つまり昨日)とプログラムされ、否応にもプレッシャーが(全くアイデアなしだった。今はアイデアはあるが上手くできるかどうかはまた別な話で、、、)。
そして奇妙なことも多発。例えば実家にある携帯の充電器が合わない。加えて知合いの歯医者さんに頂いた電動歯ブラシが充電しても動かない。いずれも5月から家に置いてあっただけ(かつちゃんと箱に入れて)だから、狐につままれたというか、実家の妖精のいたずらとしか思えない。兄が郵送した手紙も迷子になり延着。こんなことははたいしたことはない、一番の大ショックは「塩の絵」を額装するのに裏側に糊を塗ったら結晶が消えてなくなった。パリでしたのと同じ方式で、同じ画材店の製本用の特別な中性の糊なのに、、、(確かに昔使っていた糊と容器が異なり粘度も違った。疑ってかかるべきだった)。こうして潰した1点はもう行くこともないだろう米東海岸のナンタケット島-2009年9月22日記載-の海水での細やかに美しいストライプで、、、)。

この緊張と時差とショックでなかなか眠られない日々をリラックスさせてくれたのは、幸福なる私の「象の絵」の運命。実は象好きのHさんがお孫さん用にと「象の絵」を注文して下さったのははや2年以上前。その頃はインスタレーション作品ばかりで全く絵を描かなかった時期だったから、なかなか筆が進まず(というか構想がわかず)、やっとのことで描き上げた「枯山水を前にする小象」を持って来たのが去年の秋。だがこの「子象」は奥さんが「これを見ていると楽しくなる」ということでお孫さんの元には行かずHさん邸の壁に収まり、第二の注文を受けることになった。今年は私にとって「デッサンの年」だから3点も同様のモチーフで作品を描き、その1つをHさんに選んでもらった。運良くちょうど良いサイズで綺麗な額が画材店にあり、これに入れてバッチリ。これを納めるにあたりHさん邸で「子象」に再会。確かに見せてもらうと色合いといい大きさといい、お宅の空間に見事に収まっている。買って頂いた作品をお宅で見せてもらうことは稀ではないが、これほどマッチしているのは珍しく、私もハッピーに。当然新しい絵のお陰で個展準備も余裕ででき、大助かり。と言う訳で皆さん、制作依頼と言うのは作家にとっては願ってないこと。「舞妓さん」とか無理難題でなければ描きますので気楽に言って下さいね(とはいえ某氏にこれも2年ほど前に頼まれた「パリ風景」も手つかずのままだが、、、)。

写真はわざとピンボケ(?)のHさん邸の「子象」(かつスペース感も写真ではわかりませんけど)