坂田英三 旧ブログ

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ルーブルのヤン・ファーブル

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ヤン・ファーブル(Jan Fabre)はベルギーの生んだ有名な美術作家であり舞台演出家。彼が今、ルーブル美術館の常設のフランドル美術回廊の所々に作品をインスタレ-ションしている。写真は入り口にある自画像(左端)。リアリスティックに作った彫刻がフランドルのヴァン・デル・ワイデンの名画に見入って?保護ガラスに頭を叩き付け流血。右のおじさんは私の連れに「これ本当?」と尋ね、彼女は「本当」(本当に作品と言う意味?)と答え、そしたらまた「本当に本当?」ときかれ漫才となった曰く付き?作品。
ヤン・ファーブルの公式見解を聞くと、「かつての巨匠達に比べると私は矮人にすぎない」と殊勝なことを言っており、「こんなんじゃだめだ」と嘆きの末に名画に頭をぶつけて死のうとしているようにも見えるのだが、本気なのか、すべて冗談なのか??? こうした挑発的な作品が得意な作家で現代美術のトップテンにいるような人だが、殿堂のルーブルでここまで冗談作品を並べる(あるいはそれしかできない)ことは本当に本人あるいは現代アートを矮小化してしまい、ちゃんと「我々は小人にすぎない」という筋をしっかり通してしまった。ちょっと感心。