坂田英三 旧ブログ

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ヤープ君のドキュメンタリー映画

20日に書いたアムステルダムに住むオランダ人の友達ヤープ君(Jaap de Ruig)のドキュメンタリー映画"Source"(水源)を見に行く。ルーマニアの片田舎の村の1日を写したもの(40分)。彼は20年近くも昔からここに通ってルポ写真を撮っていたところだから、村びとの要すが朝から晩までの日常生活がまったくカメラの存在を感じさせずに記録されている。
とはいえ農村の毎日、大したことは起こらないのだが、クライマックスは午後に突然起こった家族間の喧嘩。字幕無しなので観客は勝手に理由を想像するのだが、実際には田舎にも先進国の文明の情報が入って来るから若者達はいつも欲求不満、簡単なことで一日に一度は喧嘩になるらしい(欲求不満の発散。その割に一番大声をあげていたのは年配だったが)。
私は質疑応答の時に「結局喧嘩は水の所為じゃなっかたのだね」と尋ねた。他の人は馬鹿な質問と思ったかもしれないが、ヤープ君は「時代から取り残された村にまだ人が住んでいるのは結局水源があるからかもしれない」という推察でタイトルとの関係をすらりと答えた。やっぱり彼は頭の回転が速い。
私は彼のアート作品しか知らなかったのだが、実はこれも最初は毎日がループで繰返されるビデオインスタレーション用の作品にするつもりだったのがドキュメンタリーになってしまった。つまりこれが初めてのドキュメンタリー映画ですって。おかしな人だ。