坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

実験映画

オランダから友達のビデオ作家のヤープ君がパリのビデオ関係の企画をしている人たちに新しい作品を見せにやってきて家に泊まった。その関係で私もポンピドーセンターの何か(彼も具体的に全くわかっていなかった)に呼んでもらえて一緒に行ったのだが、ホールから地下に降りるとポンポンとシャンペンの栓が開く音がしてデリカテッセンが並びきらびやかな雰囲気。やばい、私はいつもどうりのユニクロの野暮な姿なのだ。でも残念ながらというか一安心というか、我々が呼ばれたのは隣の映写室での実験映画の会だった。放映の後に少し作家さんのスピーチ、簡単なこと(メディアがフイルムからデジタルへ、そして携帯電話やウェブサイトに広まったこと)がものすごく高尚な難しいことのように語られ、大学の講議のよう。自分の前衛作品をUチューブで流したことがこれまたすごいことのように話されていたが、ビデオで撮ってマイコンでイメージ操作や編集してわけのわからない作品を誰もが作れる時代、方法論での「実験映画」など完全に崩壊したとしか思えない。質疑応答での「私はプロフェッショナルではない」というお答えもいかにも一昔前の「前衛作家」らしい。考えてみると私も名前を聞き覚えがあるような有名作家みたいだが、ちょっとあきれた。ヤープ君もほぼ同意見で、予定されていた(?)お食事を御一緒する話は丁重にお断りし帰ってきた。
ところで出口でお隣のこれみよがしなパーティー(普通こういうのは一般人が入らない休館日にするし、最近の美術館にはない豪勢さだった)の正体がわかった。Hと言う字が大きく書いてあったのだがそれはエルメスのHだった。但し何の発表会だったかは不明。