坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

アルザスの成果

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ところで「何故イグルーなの?」という質問を何度か受けたが、私の提案したプランは心臓音が洞穴か何処かから聞こえるという曖昧なもので、イグルーなどなかった。そもそもフェスティバルのテーマが「幸せは何処に?」というもので、それ故に現地に行ってみると家の形を取り入れたインスタレーションが幾つも作られていた。私は結局根無し草、「家=幸福」の概念から程遠いし、制作も放浪型だから森の岩場を覆っていた苔(写真)でのイグルーを思いついた。
幸福と言うのは現代アートらしからぬテーマで戸惑ったが、心臓音、苔の柔らかさ、イグルーの中の静謐な空間はどれも「幸福感」に繋がるもので、見た人の多くも納得。

アルザスの成果は、抽象的なプランから「その場で」具体的なものに短期間で仕上げられたこと。実際当初の提案では私が1週間以上の制作期間を希望するのか理解されず、日数もギャラも減らされ、悲しい条件を受け入れたのだが、ハイコスト(特に材料費)の作品へのはっきりとしたアンチテーゼになった。これは関係した学生に少し影響を与えた模様。イグルーの受難に関しても、企画者は「岩と間違えると言うのは考えられない」と構造強度を問題とすることはなかった。

でも人災天災を考えねばならぬ「見せ物」を作るのには疲れたな-。もうフェスティバルはやめかな?

苔と言えば、05年のアシュラの企画を思い出してもらえるかもしれないが、「アシュラの里」はフランシュコンテでボージュ山地の南、今回のアルザス、ストスウィール村は北という地理になります。もう少し山奥に入った隣村には早稲田大学民俗学調査団が研究に来るということ。パリから4時間にもかかわらず田舎なんですよー。