坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

羊パーフォーマンス

イメージ 1エッチョ(Hecho)村を歩いて気に入ったのが煙突と柵。煙突は家の中の調理場から円錐状に伸び、屋根の上にカッパドキアの奇岩のような形をした頭を出す。柵はヤギ、羊を囲うものだが、杭と杭の間に木の枝が紐で随分いい加減に繋げてあって、御覧のようになかなか芸術的。これにならって私も柵づくりをしようというのが最初のアイデアだが、「何かそれだけではねー」と思いつつ日が過ぎる。それに自分の発表場所も指定せねばならない。私は村の中より開放されたところの方が好きだから、村はずれにある崩れた家畜小屋を指定。この中に何か作ればお茶を濁せるが、柵もしたいしー、で考えたのは柵を作ってその中に羊を入れる。羊は一匹、それに羊の皮にくるまった私も入る。ジョセフ・ボイスの有名なパーフォーマンス「コヨーテ」のパロディーだ。コヨーテは獰猛だが、群れから離された羊の行動は如何に?

羊は企画側が調達してくれることになり、柵づくりを始めたが、廃屋の床はセメントで壁はあまりにももろいので、羊の体当たりに耐えうる柵の支えとしうるものがない。結局工事現場用の柵に芸術的柵を組み合せ、羊を待つのみになったが、、、。

土曜当日は天気予報は強い雨雲の接近と言うことで、布の彫刻の女性アーティストのパレードが最初、それから私の羊パーフォーマンスということになった。「布の彫刻」は何人もの人が着衣して歩かねばならぬのだが、私もその一員で、観客が来る前にスタンバイしていねばならない。私がいなくても羊はその間に連れておくからということとなった。布彫刻の行列が終り、観客がその場にたむろしている間に私はサイトへ先に着くはずだったが、観客は羊のように群れをなし意外に素早く移動。特に子供たちが我れ先にと先頭を切って進んで行く。それにやっとの思いで追いついた時は廃屋の直前、中をぱッと覗くと柵は開いたまま、つまり「私の羊」など来てはいない。さて、この危機をどう乗り切ったかというと、、、というのを名古屋の23日の講演のネタにしようかなー。