
あるかないかわからない当日券を目当てに6時にオペラ座に行ったら、やっぱりこんな日に並ぼうという人は稀で、私は3番目(ダンサーの女性、そして家族の後)、絶対に取れると確信。しかし重大なことに気がついた。出し物が違うのだ。今晩パリオペラ座のエトワールが踊るのは、古典のドンキホーテではなく、現代物のウイリアム・フォーサイスWilliam Forsythe 3作とトリーシャ・ブラウンTrisha Brown1作。変だけど、答えはごく簡単:ドンキホーテはバスチーユのオペラ座だった!(バスチーユは評判がごく悪い現代版「カルメン」だと思っていた)
私はトリーシャ・ブラウンが好きだし、建物もガルニエ(旧オペラ)の方が好きだし、席はあるしで簡単に計画変更。「幕間に会おう」と言っておいたC嬢に電話したら「だめじゃない!」と叫ばれたが「ごめんね」で終わり。これだから誰にも好かれる訳がない。しかし大問題は某氏が来ないこと。売り場も意外に早く開いて、困った! 良い席が残っているが、これを並びで買って彼に落ち合えないとかなり悲劇。だからそこを一席、ランク下を一席買った。これは皆さんも知っておいたほうが良い情報だが「オペラ座のチケット売り場ホールは携帯がつながらない」 だから「売り場で待ってるから」とした留守電メッセージだけが頼り。結局開幕5分前にも某氏は現われなかったのでぶつぶつと言いながら一人でバルコニー席に急いだが、思った以上に席がよく、かつ着くや否や大音響で始まったフォーサイスの"In the Middle, somewhat elevated"という87年の作品が凄まじかった。「えええ」「やった」とか叫びたくなるような動きの連続。かつすごいスピードで、まさに息つく暇がない30分だった。これは私が今まで見たバレーの中で一番凄かったかもしれない。これでもう全て満足。あとの作品は、エレガントだったり趣向が盛りだくさんすぎたりして、単純なロック少年の私には最も古い、この畳掛けるような振り付けの"In the Middle…"が圧巻だった。
終わっても某氏から音沙汰がないのは、もしやまた事故ってなんて少しは心配したが、疲れてずーとホテルで寝ていたとのことで、、、チケットは勿体なかったが、どうせ招待するつもりだったし、彼が事故らなかったらこれは見られなかった。だから結果オーライで、変なイヴだが大満足でした。
写真は私がガルニエのほうが好きな理由の絢爛たる大回廊。赤いツリーがありました