坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

針のない時計

イメージ 1南仏に発つ前に我がアトリエの地下からも上からも見れる、長年使ったイケアの大(?)時計が止った。単なる電池切れではなく本当に電子部分から壊れていたので、機構も針も外し文字盤だけにして壁に掛け直した。「時間を気にするような生活ではないし、せいせいするかも」と思ったのだが、実際にはしょっちゅうこの時計に目が行く。つまり見事に自分が今まで如何に時間に束縛されていたかがわかることになった。そういう意味で「役に立つ」この「コンセプト時計」、使いだして何週間も経つがその効能は薄れない(つまり今でも毎日何度もみてしまう)。ダリの曲がった時計でないけど。針なし時計をアートにしている人もいるだろうなと思い、検索してみると、ありましたありました。Sandra Aubry & Sébastien Bourgというデザイナーカップルが何と今パリのギャラリーで展示しているではないか! 散歩がてら見に行ったら、私の「壊れた時計」(写真)と違って真ん中の穴がないのは当然として、電子メカ部分は動いていてチクタク音がするそうな(実際には通りの音がうるさくて聞こえなかったが)。やっぱりコンセプトアートして「頭脳的」(作為的)だが、考えたのはいいけど作家の人、使ったことあるのかなと疑ってしまう。だって本当に「針なし時計」と暮らすのは大変(本当に不便だ!)で、この(コンセプト優先で)無理して生活すること自体が「アート作品」なのだと思ってしまう。
だがコテコテの現代アーティストでもない私は「もうこの辺でいいかか」と弱音をはきはじめていたところ。お二人がアート作品にして売っている(ちなみに価格は600€/エディション数12)ことだし、やめ時かと、実はその後安物の時計を物色して帰って来たのだった。(まだ掛け換えてはいないが、、、)