坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

AAA(アーアーアー)

ちらりと13日の金曜日に書いたが、Standard & Poor'sという格付け会社のフランス国家の格付けが最高レベルのAAAからAA+に一段落とされた。9月から「そうなったらここの世の終わり」のような雰囲気で取沙汰されていたが、結局大ショックはなかった。世界を席巻している感のある格付け会社だが、私のような門外漢には本当に訳がわからない。経済状況の悪い国の信頼度評価を下げるのはよいが、それにより格下げされた国の払う利子が高くなるのは血も涙もない借金取りの論理、それでは経済回復するわけがないではないかと日頃思っていたのだが、私の常識がそう外れてない事が先日France Cultureの経済顧問の論説を聞いていてわかった。以下『』内は顧問の見解と考えてもらっても良い。

フランスが1ランク下げられた時に、イタリアは旅客船座礁が一番のニュースかと思いきや2ランクも一挙に落ちていた。やっと『ベルルスコーニを辞めさせて新政府が厳しい緊縮経済政策と構造改革を採択したのに。理由はこの政策だと経済成長が見込めないから』ということらしい。国家経済を採点をするし、政府がへいへいしているから大先生みたいな存在かと思いきや、これは落第聖徒に何やってもダメですよと奈落に突き落とすようなもので無茶苦茶だ。つまりこの種の会社は先生でも何でもなく『近視的展望しかない』、というよりおおよそビジョンなどないのだ。だから10年20年後を目指して教育や基礎研究の予算を増やせばまた借金財政として格下げするに決まっている。何でこんな機関が重きを置かれているのか? 私は格付け会社に、自分達がいる資本主義システムの存続さえももうどうでもいいというほどのアナキーさを感じてしまう。
ところで『イギリスはフランスと同じほどの赤字率、低成長などなどなのに格下げされなかった。その理由はポンドを保持したので自国での通貨政策が可能だから』。これには極右のマリー・ルペン大統領候補がほくそ笑むに違いない。一部の誤りや矛盾を指摘して全体を否定するのが詭弁術の常道だから、これは絶対に使える!と私が極右のブレインでもないのに思っていたら、社会党のオランド候補は「私の本当の敵は(サルコジではなく)金融界だ」と昨日の大集会で演説した。僕は本当には何がどうなっているかさっぱりわからないが、金融システムは絶対に狂っていると思うから「オランド頑張れー」と応援したいくなる。だがどうみてもオランダ君には敵が勝りすぎている。顔を見ても演説を聴いても、八岐大蛇のような敵を前に剣を振るって大活躍をするような知恵と勇断のある強者には到底見えなくて、、、(10/17も参考に)。選挙までの3ヶ月を考えると、やはり出るため息はアーアーアー(AAA)のまま。