坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

清貧なるアーティストの集いの場

http://allart.biz/up/photos/album/P/Quarton%20Enguerrand%20/quarton_enguerrand_the_avignon_pieta_2.jpg
昨晩ルーブルのホールでドイツのWerner Herzog(ヴェルナー・ヘルツォーク)監督が南仏の洞窟画を撮った映画の上映があったので出かけたところ、ルーブル商店街側からの美術館入口のシャッターが降りている。水曜日は夜間開館の日だから旅行客もうろうろ。私は上映10分前なのに、、、。リボリ通りに戻ってピラミッドまで行ったらもう遅刻だろうと焦っていたところ、係員が現れ、シャッターを開くと言うので待った。走ってついた映画のチケット窓口には20人ほどの列が、だから間に合ったかと思いきや「満員御礼」(信じがたい事態)とのことで入れずじまい。
折角来たのに馬鹿馬鹿しいから、何となく美術館に。セーブル焼きの特別展の矢印にまたまた何となく従って行った会場は2間だけの小さな展示会。そこからエスカレーターまかせで上の絵画部門に着いて、新しく収蔵されたクラナハの三女神を見ていない事を思い出し、中世絵画部をそそくさと抜けようとすると、おおありました、このピエタ。昔は「アヴィニョンの師匠」作とされていたが、いつからかアンゲラン・カルトン(Enguerrand Quarton)作となり、配置も昔は仏絵画部門入ってすぐにあったが、今は少し奥まったホールに。だから久々の予期せぬ場所での対面。しばらく後ろの方から見ていたのだが、絵の前ではるばるこの絵を見に来たらしい日本人が右に左に動いては眺め、そしてG君に似たつるつる頭の男が正面にじっと立ったまま何分も動かない。これはほぼ間違いがないから「ムッシュG、そこをどけ!」と言い放ったところやっぱり振り返ったのはG君だった。彼はアパートの家の鍵を忘れて奥さんが帰宅するまでの時間つぶし。ルーブルはアーティストパスで無料、名作が一杯で退屈することないからね。でも巨大なルーブル美術館の中、よりにもよってこのピエタの前で私とGが出会う? 結論:この絵の前はきっと清貧なるアーティストの集いの場なのだ
(アップロードして昨日の私のデッサンと写真が並ぶと、差が甚だしくて恥ずかしくなったが、今やもう遅し)