坂田英三 旧ブログ

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ジェノサイド弾劾法

イメージ 112日にアルメニア人虐殺のことに触れた時はこの法案の事は全く知らなかったのだが、昨日国会(下院)で「大量殺戮を弾劾法」が可決された。その内容は「法が認めた大量殺戮(ジェノサイド)を認めずこれに抗議する者には禁固刑と罰金45000ユーロ(約460万円)が課せられる」。つまり1915~17年のオスマントルコによるアルメニア人虐殺のみが対象ではなく、例えば極右が「ナチスガス室は誇張だ」と言えばこの法律で罰せられる。しかしナチスポルポトセルビアと全く違うのはトルコ政府が「150万人という数字は膨張化されており殺害は両陣営にあった (第一次大戦下の戦闘および追放により50万人の犠牲者はいたが、民族撲滅を狙った計画的殺戮は行われなかった)」とし、ジェノサイドという用語を拒否しているおり、一般のトルコ人もこうした意見を持っていること。トルコ政府および国民(あるいはトルコ系仏人)を差別した反トルコ法案だと数日前から強くトルコ政府は抗議、昨日はパリのトルコ大使を帰国召還、正常な外交関係を絶つ構えだ。
昨日の国会の写真を見ると出席議員数は僅か(仏国会は可決議数だけ出席すればOKで他の人は休みという超効率的制度と思われる)で50人ぐらい。反対は10人強で圧倒的多数で可決された。というのも今回の法案はサルコジの与党によるものだが、同様な法案は2006年に社会党が提案し上院で否決されたという経緯があり、基本的には全員一致。だから社会党が多数派となった上院も通過するだろう。
しかし一方では「議会が歴史を判決すべきではない」という意見もある。私は当事国を差し置いて、国際機関ではない第三国がかくなる法律を施行してよいのだろうかと思う。現在のところ2民族の啀み合いを助長するだけに思われるし、いつものように法案だけ作って実施しないのならば「人権の国」のスタンドプレーにしかすぎない。単純な疑問だが、例えばトルコ大統領がパリに来てジェノサイドの現在のトリコ政府見解を繰り返したらその場で逮捕されるのだろうか???
ニュースで大統領候補のオランド坊や(10/17参考)は「今この法案を通過させるのはサルコジアルメニア系の有権者の票取りだ」言っていたが、これって全く質問に答えてないよな(それしか頭にないのならサルコジ級だ)。

トルコの肩を持っているような内容で「招待されて魂を売った」と誤解されそうだが、私は勿論アルメニア人ジェノサイドを歴史的事実と思っていますよ! だって45000ユーロも罰金払えないもの(だからこの法律は変だ)
(写真はまたまたアニの遺跡。間違えないでくださいよ、12日に書いたように、これは戦争とも殺戮とも関係なく14世紀の大地震の結果ですから)

追記(12/31付):仏が法で認めたジェノサイドは現在では、ナチスとこのオスマントルコの2つだけだそうです