坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

遥かなるムンク (2)

http://www.centrepompidou.fr/education/ressources/ENS-Munch/photos/02-edvard-munch-jeunes-filles-sur-le-pont-1901-550x600.jpg
ポンピドーセンターで年間フリーパスを作った! そのあと私のシンデレラ姫とセンター近くで会ったが、思った通りすぐ帰ってしまったから7時過ぎから一人でムンク展へ。「遥かなるムンク」を描いた10/7にはあんなに込んでいたのに今日は切符売り場にもほとんど列がなく会場も、私には嬉しい事に、がら空きの類。入ると第一室に「抱擁」、「バンパイア」、「思春期」、「病気の少女」、「橋の上の娘たち」、「孤独な二人」(浜辺に男女がいる絵)という代表作がずらり。いやー、これは最初からすごいと圧倒されつつ第二室に入るとなんか変だ:もっと雑に描かれた同じモチーフの6点が同じ順で並んでいる。習作なら普通は一緒に一緒に並べるけどなーといぶかしく思ったら、そうではなくこれらはムンクが晩年に同じテーマで一度描いたもの。2年前に近代美術館であったキリコの回顧展でも最後の方に若き日の代表作の「自作コピー」があって妙な気分にさせられたが、これはもっと人を馬鹿にするような作為的展示だ。「一体何のつもりか?」と壁の解説を読むと「ムンクは複写が可能な時代に絵画は何であろうかという的確な問いを発した…繰り返され、簡略化されたモチーフはそれ自体が独立してトレードマークのようになっていく」などとある。そのあとの部屋には彼が撮った写真が幾枚も並ぶ。つまりこれは「単なる回顧展」ではなくて、色々勉強・分析する、私のように絵を前にして感動するのを白痴的態度を揶揄するような展覧会だ。有名でもまったく取り扱われないシリーズも多い(だから規模は小さい)。それに全然お付き合いしたくないような形相のムンクのセルフポートレート写真がいっぱい並んでいて、余計拒絶されているような、、、。まあでもね、ムンクムンク、ちゃんとした絵の前に立ってそれを見つめるだけでやっぱり胸キュンになるんですよ(と小賢しいキューレーターの意図を無視し白痴路線を貫きました)。