坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

潔癖性の私の不安

5月14日にニューヨークのホテルでルームメイドを強姦したと訴えれていた、当時IMF総裁で来年の仏大統領選の有力候補と取沙汰されていたDSKことドミニク・ストラウス・カーンの起訴が破棄された。被害者の証言に信頼性がなく証拠不十分とのこと。DSK氏は以前からその好色ぶりで「誰にでも飛びつく」とコメディアン(漫談家)の笑いのネタになっていたが、私はこの事件が起きるまではただの誇張で面白くない冗談だと思っていた。しかし冗談は本当だった。強姦の嫌疑は免れたもののメイド嬢と性的関係を持ったのは確実(精液という証拠がある)。普通の人間、いくら部屋に裸の女性が現れようとも飛びつかない。かつ大統領候補を宣言しようとしている人間なら、それが商売の女性だとしてもリビドーにブレーキがかかって普通では? 私もスペイン滞在中に初めてこのニュースを聞いたときは、当然スペイン語でよくわからなかったが、ありえない話で、陰謀ではないかと思った。仏国内でそういう論調もあったらしいが、少なくとも完全に色情に屈した事は確か。私の学生の頃の人気漫画の「こまわり君」は、色仕掛けに弱くすぐにそれで騙され「またアホな罠にかかってしまった」といつも嘆くのだが、この「こまわり君」と同じほど「病気」としか思えないDSKの不起訴について、社会党首脳陣の見解は全員「疑惑が晴れてよかった。政治経済での彼の意見は貴重だからまだフランスの役に立ってほしい」というような調子で、倫理的な批判が皆無なのはどうなっているのだろう? 
DSKはフランスに戻ってくる。そして無実を訴え、社会党候補の支援をするとしたら、社会党も「アホな罠にかかってしまう」のではなかろうか? これが私の大きな不安だが、政治と私事と別とするフランスでの世論調査では、DSKの政治討論への復活反対は53%だけらしい。私事としてもモラルが低すぎると思うのだが、、、。