坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

アビザンダ便り5、思えば遠くに来たものだ

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先週末にも誘われて山に行ったのだが、昨日も誘われて喜んでOK。先週はサンダルでも良いということで気楽に行った割に結構歩いたので、今回は本当に山だから、登山靴で水筒、カッパを持参と言われより高いところに登るかと期待して行ったのだが、車で峠越しをしてしまい、かつキノコ狩りが好きな夫婦が一緒に来たので森の中をうろうろするばかりで、歩き好きの私は完全に欲求不満。天気予報では崩れるはずだった今日は朝からいつもながらの青空で、かつ非常に暑く無性に一泳ぎしたくなり、昼食後の腹ごなしにと湖を目指してピラー夫人が昔歩いた事があると言っていた道を歩いた。私のスペイン語能力ではとんだ間違いをする事が多いから本当にこの湖岸かどうかはわからないが、ともかく何か不思議な所に着いた。湖といってもダムの人造湖で、水に沈んだのはオリーブ畑。だからオリーブの枯れ木が水から枝を出し、水辺も畑の土だから妙な具合だ。まあせっかく泳ぎに来たのだからと水着に着替え枝の間を縫って泳ぐ。岸辺の泥には一頭の動物の爪痕に私の足跡が加わった。なんか阿呆らしくなって素っ裸になって座りこんだ。バルセロナのような大都市ならいざしらず、というかそういう大都市が活動の場ではなく、色々な遍歴を経てこんな誰も来ぬ世界の端に来たかと思うとつくづくと感慨にふけってしまう。ただ人里離れて遠くに旅行したいからここにいるのではなく、自分のしたいこと、自分に望まれること(一応レジデンスプログラムに選ばれて)の末にただ一人こんな変な湖畔にいるのだから。今ここでの確かな実感は、原発事故で揺れる日本(あるいは日本人社会)に私の居所はもうないということ。