坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

お金で買える夢

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私の研究した「お嬢さん」は、セレブの使っているものが気になるようだ。
若者は新しい時代を反映するような歌手やスターに自分のアイデンティティーを投影する。それで変な髪型やファッションが流行るから「セレブが気になる」のは全く特殊なことではないだろうが、私が学生の頃に長髪やジーンズで学校に行きたがったのとは全く違う何かがある。セレブになりたいというのなら、殆ど全ての小学校男子が野球の選手になりたかったようなもので理解可能で不可能な夢で終るのだが、どうもセレブにあこがれるのではなくて、セレブの生活にあこがれる。そして「セレブの生活」は夢にあふれ、そのすべてはお金がかかりすぎるが、その一部ならお金を払えば夢が叶えられる。それを味わっているように思われるのは「お嬢さん」の思考回路を単純化しすぎだろうか? ともかく私には彼女が気になるセレブがどんな人か全く知らないし、そのセレブの使う化粧品にどんな夢が含まれているのか皆目見当がつかない。夢なんてものはそもそもお金を出しても買えないから夢だったはずなのだが、、、古ぼけた絵葉書となった私にはそれこそ悪夢としか言い様がない。小出しの購入可能な夢を作り出したのはまさに贅沢産業の炯眼と言えようか。
同じく炯眼なるヴォルテールは、(どういう文脈だったのかは知らないが)「美は自然が理性(raison)にしかけた罠にすぎない」と言ったそうだが、「セレブの美容は資本主義が理性にしかけた罠にすぎない」なんて言うと理性に怒られるかなー?(蛇足:そんなものに騙されるぐらいでは理性と言えないという意味です) 

「お嬢さん」は馬鹿ではない。だから世の中を良く見て目覚めてもらいたいのだが、その世界を見渡すと原子力から外交まで、理性はお金に負けっぱなしで超ヤバイのだ。「あーあ、こんな世の中に誰がした!」 こういうネガティブなことをブログで書いているとマジ嫌われるそうだ。