坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

地に落ちたフランス外交

ああ、あまりにもひどすぎる。歯やSFRで悩まされていて、かつ応募企画の締切りもあるので、それどころでないのだが、やはり書かざるえない。でも何から話してよいのだろう。アリオ・マリ外務大臣のとんでもない発言の事は1月18日に書いたが、その後彼女のチュニジア前夜の年末休暇でベンアリに近い関係と見られる当地の財界人にお世話になっていた事が発覚。「大失敗、時期が悪かったね」と優しい僕はこれだけなら目くじらを立てないところかもしれないが、TVインタビューでその弁解に「偶然自家用ジェットに乗せてもらった」と嘘をついた。嘘というのは両親も一緒で、お父さんはその財界人への投資契約のため行っていたことがスクープされたため。だからその後大臣の進退を問う批判が絶えないだが、新たに任命されたチュニジア大使のボリス・ボワロン(Boris Boillon)は、2月17日記者を呼んで会食を催したが、当然に予想されたその種の質問に苛立ち、チュニジア人ジャーナリストに対し「くだらない」と傲慢な態度でマイクを押し返し、席を立つという振る舞いをカメラの前で行った。ボリス君はアラビア語が話せて、リビアカダフィともお友達?! 昨年11月のTV番組では「誰でも過ちはするもの。そればかり言っていては、、、」とカダフィを弁護した。この他にも外交官とは思えぬ率直(?)な愚かしい発言があり、今やフランスのネットでは彼の本当に聴衆をあきれさせるインタビュービデオが大ブレーク! この人はサルコジ大統領就任時の若きアドバイサー。類は友を呼ぶと言おうか、高慢な態度、二人ともよく似ている。公開されるソースでも口を慎めない彼ら、内輪ではどんな悪口雑言をしていることやら。

ところでフランスは外交で世界の大国の面子を保ってきた。大統領が原発や飛行機の売込みをするような実利外交をする一方、ル・ヴィルパンの国連でのイラク戦争反対発言や、ミッテランの戦時のサラエボ訪問など、実質的に世界状況には左右しないが象徴的行為で世界に見栄を切る、素晴らしきはったりの才能があるのがフランス外交だったのに、今やジャーナリストの質問で墓穴を掘るような大臣や大使しかいなくなったようだ。実際「くだらない」と蔑んだチュニジア新大使の記者団に対する挨拶はそれこそ中学校の学級委員レベル。それよりもましと私が思っていたアリオ・マリ女史はシラク派の生き残りで、一時は総理大臣との噂もあったが、おそらく間もなく解任(ポワロンがサルコジに「やってられんで、ニコラ。早う婆さん首にせーや。」とほざいているのが聞こえる)、これで彼女の政治生命も終わっただろう。ポワロンはサルコジと一蓮托生。当然これらは私の予想。もう少し信頼できる情報を読みたい方は、最近発見した日本人ジャーナリストと思われる飛田正夫さんの「仏メディア閲覧(http://kanaememo.exblog.jp/) 」をご参考に(毎日のフランスでの一面記事が載っている。びっくり。私の言及するニュースの詳細もこのサイトに譲れるので、大助かり)。

「フランスから外交を除いたら何も残らない」これが私と私の周囲の以前からの確信だったが、その日が来てしまったか、、、