坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

ローブ・ド・マリエ

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写真はノルマンディー地方、ロック・ベニヤール(Roque-Baignard)村での作品。森の中に白い大きなドレス(高さ約5m)を釣り下げた。木漏れ日が和紙のような感じの布(実は雑草よけとかに使う園芸、菜園用のもの)にあたってできる「光の刺繍」をスカートの中に入って鑑賞する趣向。(写真では若いカップルが入っています)
漠然と木漏れ日をスクリーンにという考えはあって、3月にパンフレット用のデッサンを送ったときにすでにドレスを描いていた。しかし如何せん私は裁縫能力ゼロ! ミシンを触ったことはこの一生で5本の指で数えられるほどで、ミシンは暴走するものと思っていたのだが、今回のホスト宅にあった「西ドイツ製」の機械はすばらしかった。ともかく動きが安定していてペダルでのスピードの微調整も完璧、私にあわせたゆっくりモードで仕事ができ、かつ待ち針を抜かなくても縫い続けられる!(今まで待ち針抜きも怖かった)
最初は能力に合わせてテントのようなものを考えていたが、縫うのが楽しくなって胴もつけ、袖もつけ。今まで裁縫は誰かに助けられていたものだが、今回は何十メートルに及ぶ裁縫の「偉業」を一人で成し遂げた。
みどりさんの容態の悪化を聞いて7/5(月)にパリに戻りお別れを言い、水曜に森に吊るしたが糸が切れた(3点より吊るして高くあげようとしすぎた)。スカートの縁は森のハシバミの枝を切って作ったのでオープン前日の7/9金曜にやっとできあがった。
純白ドレスは同性愛者であったアンドレ・ジッドが恋して結婚した奥さんのマドレーヌ夫人を暗示しているが(何故ジッドかは3/9-10参考)、この作品は色々な意味で光の作家のみどりさんの世界と関係しているのかもしれない。