坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

ナポリ再訪?

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風邪を引いてぐたっとしてTVを見ていたらちょうどナポリ特集をしていた。案内役の歴史学者が友達の館を訪ねたりするので普通の人は入れないところも紹介された(閉店していたガイドブックお薦めのピザ屋のお兄さんもでてきた)が、びっくりしたのは誰でもいける海岸線の風景。先日の旅行は、シ-ズんオフで目的地のシシリアへパリからの直行便がないのを嫌って、ナポリまで飛んで一泊、二日目にはや夜行フェリーでシシリアへ渡ったのだが、こんなきれいならナポリにもう少し長居しても良かった。アマルフィ海岸やカプリ島の絶壁と海の美しさはTVの小画面でも息を飲む。こうした自然の美しさを目にして最近思うのは私のしている「創作」(と呼べるだろうか?)のはかなさ。いつも「大自然に何を付け加えるものがあろうか」という自己否定的検証から始めているものの、かつて絵や版画の片手間に作っていた時の自然発生的制作が、最近は公募のテーマに合わせたりしてわざとらしく、選ばれてもうれしくないこともあるという異常事態。企画作りは単に私の「脳の老化防止」のエクササイズのように思われることもある。いかなる野外インスタレーションといえど、時を経て立つギリシャの神殿の荘厳さにかなうことはない。アウトドアのアートのみならず、アート全体がとんでもない袋小路の中で模索しているような気がする。袋小路の淀んだ空気が好きな人もいるだろうが、私はもっとすきっとしたい。(写真はシシリア、アグリジェントのコンコルディア神殿)