坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

真っ白な絶望

キャンバスは一応もう白地があるのだが、絵具の付きを一層良くなるようジェッソという絵具で白の下塗りをする。上から丹念に塗って半分を越したぐらいのところで止めると、微妙に白の濃度が違う上と下、白い空と白い大地が地平線で合わさったような漠として雄大なる絵ができあがる。これでやめた方がいいような、、、。確かに私の自然の中でのインスタレーションは簡単作品が多く、頑張らないことをモットーとしているので一貫性があるのだが、このままの方が一生懸命複雑なコンポジションをするより優れているとなると絶望的になる。
マーク・ロスコ(Mark Rothko)の絶望? 彼の晩年の作品は黒地に黒い四角、60代後半、成功しているのに自殺した(興味がないので何を悩んでいたか調べたことはない)。
そしてこの誘惑に負けず地塗りを最後まで続けると絶望から脱する。少しむらのある真っ白い平面も何か描くより良いのかもしれないが、これは私には知的すぎて崇高さに欠ける。
モノクロームと言えばナンタケットの海水を煮詰めた高濃度塩水でデッサンをしたところ、ちゃんと四角い結晶が紙に定着してくれた(時々紙からぱらぱら落ちたりするのだが、理由はよくわかっていない)。これも先週の成果だった。白に白、だが結晶がピカピカ光るので全く絶望的にならないない。