坂田英三 旧ブログ

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バグエの手帳

ドミニク・バグエ(Dominique Bagouet)は80年代のフランスダンスのヌーベルバーグの旗手といえるダンサー・演出家であったが、1992年40歳そこそこで若くして他界した。僕はダンスの専門家どころか熱心なファンでもなんでもないので、数限られた僕が見た舞台とビデオからごく主観的な印象を言わせてもらうと、手足をばたばたさせるがマース・カニンガムのように無機的ではなく、日常動作を取り込むがその垢を取り除いた抽象性が爽快な、見ていて何か楽しくて自分でも身体を動かしたくなるようなダンスの新しい言語を作り出した天才だった。彼は作品を作るのに膨大なメモ、スケッチを残し、かつインタビューなども沢山あって、彼の死後残されたカンパニーの人たちがバグエのダンスを後の世代に伝える目的で「バグエの手帳 (Les Carnet Bagouet)」なる協会を作った。今日はその代表メンバー、オリヴィア・グランドヴィル (Olivia Grandeville)振付けのアマチュアによるダンスを見に行った。(今まで知らなかったがパリ市アマチュアの芸術活動の家なるものがあって、そこが主催)
入場無料のアマチュア(老若男女、とはいっても若い女の子が多かった。その20人ぐらいのなかの1-2名はダンスの素養のありそうな人も)のダンスですがなかなか感動しました。色々な動きが交錯して複雑なのにも関わらず単純なダイナミズムがああって清々しかった。60時間の練習で1時間以上の、結構運動量も半端ではない出し物を作り出されたのにも関心。アマチュアとプロ指導者の双方の情熱を感じさせたのは「バグエの手帳 」ならなのかも。