坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

オノデラ・ユキさんの個展

近所付合い、といっても彼らは忙しすぎてちっとも会えない(2006年10月19日参照)のだが、写真家オノデラ・ユキさんの個展にでかけた。戴いたDMでは色々な物を並べた但のキッチュな写真という感じで、あれ、どうしたのかなー?と思っていたのだが、画廊(galerie RX, 6 av. Delcasse)に入るとほぼ同じ巨大(121x170cm)カラー写真が4枚、その白黒バージョンが4枚並んでいる。
間違え探しかな-と思って見だすと意外に簡単に違いが見つかるが、そのために詳細を見ることになる。それが策略(?)なのだ。種を明かすと写真の中にある鏡に映る森が違う。実はキッチュな品々はピンクの背景を含めわざわざフォンテンブローの森にセットして撮影された(解説を読まないとそれはわからないだろう)。「それでなんだ」という気もするが、やっぱり感心させられる。単純に「面白いでしょ」という以上に静物画の絵画史を踏まえているし、大部分を示すモノではなくて、鏡に映った小さな自然が実は現実の場所を示すというからくりが視覚の曖昧さをつく。こういう哲学的視点は同時に個展を開催(Galarie Paviot, 57 rue Sainte-Anne)の御主人アキ・ルミの作品ほうが明白なのだが、色々な画像と図面のようなデッサンが重複する作品は理解するのがユキさんの作品よりよっぽど難しい。(ウォッカをもらって画廊でだらだらしていたら、やっぱり一番わかりやすそうな作品が売れたみたい。ユキさんの方は少なくとも4枚を買わないと意味がないように思ったが本当は合計12枚あるらしい)
お二人とも世界を駆け巡っているのだが、ホテル住まいが多くなってその出費がかさむらしい。それに創作時間はどうやって練り出しているのだろう? 売れっ子もそれなりに大変そうだ。
ところでご興味のある方、お2人の情報は名前をカタカナで検索しないとでてこないようです。