坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

サマルカンドの紙漉き工房

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8日にタシケントに着き、翌日の午後サマルカンドに発った。サマルカンドは大昔からのあこがれの場所(とはいっても歴史の勉強をしたり、行く計画も立てたことがなかったが)、夕方大きなモスクの青い壁の下に立った時には本当にはるばるやって来たのだとはじめで実感。巧みな手腕で助成金申請書を作成してくれた、今回のタシケンターレの参加アーティスト、石井さんに手を合わせて拝みたい気持ちになった。実際ここにいられるのは彼の努力のお陰なのだ。

サマルカンドはブハラ前の息抜きの観光旅行のつもりだったが、枯山水の企画ができるかどうか危うくなった状況では、何かそれに替わる企画も考えねばときょろきょろするが「町の中にいたのでは素材に出会いそうもない」と感じていたところ、タシケントのV氏が紹介したLさんが、郊外の伝統的な紙のアトリエの話をした。日本人としてはここまできて今さら紙の製造過程の見学をすることもないのだが、これが大当たり。そこはかつて細密画用の生地が細かく絵具が滲まない紙として名声を得ていたが、ロシアの支配下で廃れ、秘伝であった技術が失われてしまったサマルカンドペーパー、その復興を意図するアトリエで、これをJICAが支援、青年協力隊の日本人女性のAさんが材料となる蒸した桑の枝から皮を剥ぐ仕事をしていた。通訳もしてもらえるし、ここはいらなくなった枝とか、木立や草や空間があるから、「初めからここに滞在して仕事をすることにしていたらよかった」と思ったところ、「皆さん親切だから、仕事をしてもらってもいいですよ」と言ってもらえた。結局午前中に来てお昼も御馳走になり、紙を使った製品開発を考える女学生のNさんにも手伝ってもらって、夕方には編み笠もどきが完成した。

写真左は皮剥ぎをするお世話になったAさん、右は枝を紐で縛るのが上手かったNさん。どちらが日本人でどちらがウズベキスタン人かわからない。