坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

イグルーの受難

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昨日の写真を見て皆さんは私のイグルーが自然の岩だと勘違いされるだろうか? 形、および苔の様子からどうみても人工物であることは明白だと思うのだが。

気がつかない人は知らずに横を通り過ぎれば良いと思っていたのが、その「最低限の観察眼のない人には見てもらう必要がない」という私の「高尚」なる態度は無惨に、文字どおり踏み付けられた。「子供が岩だと思って足蹴りする」と聞いて驚いて作品の番人および修復係と化した私だったが、人の行動は予測できない。子供に向かって「触るな」と叫んでいたお父さんがいきなり靴の紐を結び直そうと足をかけ、大量の苔が剥がし落とされた。一少年は突然隣の岩からイグルーに飛び移り、骨組みの木はボッキリ。度重なる打撃にデコボコし、日曜の晩には本当に岩のような様相になってしまった。木曜、金曜の夜の連続の雷に伴う集中豪雨にもちゃんと耐えたイグルーだったのだが、、、

子供が飛びかかって壊れないようにするには鉄骨やコンクリートで作るしかなくなってしまうが、それは「自然の中の作品はそのまま朽ちて行けば良い」という私の作品哲学の問題外。どうしたものか。先日書いたように怖いのは天災よりも人災。今回の受難の原因は意外に私の作品は人気があって、心無い人が通り過ぎずに野次馬的に集まってしまったことにある。人が集まれば集まったで困りものだ。「子供が岩と見違えるのは当然」とする意見もあって、、、私は「子供は偏見がなくて正しい」なんていう意見は到底信じない。芸術の幼児化、大衆化はいいかげんにしてほしい。美術展は遊園地ではない!