坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

Happy artist 見ることの楽しみ

帰国したときに飛行場で読んだエアフランスの雑誌で気になる展覧会情報が2つあった。一つは仏電力が企画するレジダンスの各国アーティストの作品展でこれは普通の現代美術展、まったく面白くなかったので、2番目のSaul Leiter写真展へ足を伸ばした。この人は1947年、ニューヨーク現代美術館でのアンリ・カルチエ・ブレッソン展をみて写真家になることを決意した。それまで絵を志していただけあって、電車の座席とそこにのせられた足(靴)とか、抽象画的な構図の切り方が目立つ。経歴を見ると50年代には美術展に参加していたものの、その後現代まで飛んでいて、最近再評価されるようになったらしい。以下は展覧会入口にあった彼の言葉の最後:

「私は他の人が見ないものを見、物に反応するすることを学んだと思う。何に対しても構えることなく世界を眺めた。写真のお陰で見ることを楽しむことができた。それは限りのない喜びだ。
私は大部分の人生を無名で過ごした。それでいつも幸せだった。無名であることは大きな特権だ」

私も見ることが楽しいだけで生きているのです。だからいつもきょろきょろ。日本では眼を飛ばしたとヤクザに文句をつけられることもある(当然情けなくすぐ謝ります)。

展覧会は来月13日までカルチエ・ブレッソン財団にて(水曜夜は無料だそうです。いつも僕がけなすカルチエ財団ではありませんよ)。初めて行きましたが一番上はガラス張りの天井の見事なアトリエ。何にも使わないなら、貸してほしいよ。