坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

厄介なイヴ・クラインの雨

フランスでの問題に日本語blogで不満を言っていても仕方がない。だから昨日のような内容をフランス語でも書いてサイトに載せようとした。フランス語なら原文を引用すべきなので、展覧会のカタログをあたったところ、昨日あげた「Cos 36 雨のコスモゴニー」のほかに「Cos 11 無題のコスモゴニー」を発見。どちらも1961年の作品でこちらの方が雨雫の絵らしかったので再度展覧会で現物を確認することにした。
紙の作品でテクニックは「不定の固定剤に顔料」と、何のことやら。バックは青が霧吹きをされたような感じでその上に雫のような青い水滴跡がみられる。私の推測では多分スプレーで紙にブルーを散布、それを雨に曝した。雨のなかった所は細かい霧吹き状態のマチエールで、水滴の落ちた部分はその中で顔料が混ざりあった。結局全体が青いのでコントラストがない。
これに似た試みを私もしたが、結局この程度のものしかできなかったから違う解決案をあみ出した。実は今のプロセスに至るまでに1年以上実験を積み重ねているのです。確かにイヴ・クラインは昔同じようなことを考えたが発展できなかった。私の結果を天国の彼に見せたら褒めてくれると思うけど。逆に「オレの真似だ」と言われるか? 出来上がりなど二の次かもしれないから。
現代アートはいつも言うようにコンセプト優先で、早く考えた者勝ち。でも考えるのは誰でもできるから早く世間に知らしめた作家が勝ち。でも実際にはデュシャンが何でも考えちゃったから彼の一人勝ちだけれど。美術の最大の問題は視覚的インパクトのはずなのだが。