坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

元気のでる絵

昨晩ブリュッセルから個展で展示した絵が戻って来た。体調が悪いのと、売るつもりの作品が沢山戻ってくるので暗い気分だったが、大きな絵をバンの荷台からアトリエの前の通りで出した時一瞬元気が出た。灰色のパリの冬の街に春の日がさっとさした感じがした。私の絵、カラフルでなんかパワーあるよ(また自画自賛)。
それで思い出したのは、昔病院に絵を飾った時の話。病院には静かな絵との先入観があり、私の絵は向いていないだろうと自分は乗り気でなかったのだが、企画者の元看護婦さんは「重症患者楝にはよい」と不思議なことを言って家まで取りに来て持って行った。病院での展示だから人に宣伝もしないし、展示してもらいっぱなしだったのだが、ある日、「友人が病院へ検査に行って心配で夫婦とも憂鬱な気分だったのだけれど、待合室にある素晴らしい絵を見て勇気が湧いた。その絵の画家は不思議なことに貴女の息子と同じ名前だったと言われた」ともう一人のEizo(3/27参考)の母親が私に語った。感動的な話でしょう。

病院の展示ではこんな逸話ができたことだけで大成功だが、ブリュッセルの個展は画廊も私も売るためにしているから、いくら自分で展示に満足し、オープニングにきたベテランアーティストに「あぶり出しはすばらしい。jalousだ」と最高の褒め言葉を言われても売上げが伴わねば落第点なのです。場所が良いと目標も高くなるのは当たり前。だからその後のゲントのアートフェアで売れなかったのはもっとショックが大きい。当然ながら上の逸話のように、基本的には「芸術は心」、売れることだけに価値がある訳ではまったくないのですが、、、。