坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

アートと経営

昨日は朝の工事でアトリエ問題の愚痴になってしまったが、一昨日の主題に戻る。

企業経営者と称するアーティストがいるかと思うと、「現代アートの手法で企業経営を」と言うコンサルタントをしている人がいる。現代アートでは「絶えまない変容」とか「恒常的な自己批判」とか(かっこいいでしょ)をモットーとしているので、こういうことをマンネリ・硬直化しやすい大企業の中間管理職を対象に説教すると効果があるかも知れない。実際彼はアーティストを企業に送り込んでアトリエを行い、発想転換させるというメソッドを発案。これが上手くいっている。何と現代アートが経営の模範にまでなってしまった。この提唱者メイヤー氏は、私の偶然とか環境とかをどんどん受け入れてしまう制作態度に興味を示していたのだが、やはり何故私がキャンバスに絵を描いているのか疑問だったらしい。「表現形態が違おうと美術は視覚芸術ですからね、作品に視覚的インパクトがなければどうしようもない。視覚的インパクトが何かという大問題を考えるのに絵画制作に勝るものはない」というようなことを言ったら意外に新しいことを聞くかのように感心していた。やっぱり現代美術派の人は美術の美の字がどっかに行っている。

字と言えば、「忙しい」という字は心が亡ぶと書く。businessはbusyの名詞形だ。従って「ビジネスは心を亡ぼす」。だからアートとビジネスは無縁。確かに大ビジネスになっている現代アートには人の心を亡ぼしそうなものが一杯かもしれない。