坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

落穂拾い les glaneur et les glaneuses

大工用品店に額を作る木を買いに行ったところ目当ての木材はひどく反ったものばかり。あとで苦労するのは目に見えているので買わずに表に出ると朝市が店じまいし掃除が始まる前。最近ゴミ箱を漁る人が目立つようになってショックなのだが、ここにも捨てられた野菜などを拾い集める人が大勢いる。僕は捨てられるものに愛着を感じるタイプなので、カオティックなゴミの光景を見ているうちに自分でも拾いはじめてしまった。というのも夏に「あぶり出しドローイング」を幾つか描いたのだが、今年は旱魃もあって果物が高くかつ美味しくなく、もう一つ乗らずに終わってしまい、少々欲求不満ぎみだった。ドローイング用だから市で見本に使われた切られた果物で十分。本当に食材を探す人に競合することはないので気が引けることもない。色々なバラエティーの果実が集められ、満足満足。こんな贅沢なゴミ漁りをしているとは人は思わないので「極貧アーティスト」の伝説が生まれてしまうかも知れない。
タイトルを「落穂拾い」としたとはアニエス・ヴァルダ(8月に展覧会情報で紹介)にこうした市の後のゴミを拾うひとのルポをした映画があるから。すごく色々な境遇の人が出て来る驚くべき映画です。