坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

朝市のギー

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家の近くのマルシェは碌なものがなくて、時々昔住んでいた12区のマルシェに行くほど。比較的大きな低所得者住宅が多いベッドタウン地区なので皆土日に「見境なく(物を吟味せず)」買い物をするので良いお店が育たないと言うのが私の推察。スパーが日曜朝開いているが、これもパリでは例外的。そのジャンヌダルク広場で唯一良心的価格で美味しい野菜を売っているのがギー。自分の菜園の直売品だから新鮮で、どれも季節にしかない。7~9月にしか食べられないトマトはトマトファンの私にはかけがいのないものなので、帰パリ初の朝市に早速買いに行った。ギーの客層は何故か高齢の夫人方。いつも彼女らをおちょくって喜んでいるので時間がかかり日曜は長蛇の列だ。私はそれをニコニコして聞いているだけなのだが、ある日この夏を限りに引退すると言っている。「それはないでしょ」と私は慌てた。もうこの朝市に来る用はなくなるし、ギーの店の雰囲気は絶滅寸前の古きパリなのだから。びっくりしてカメラを取りに戻って撮ったのがこの写真。「時代の終焉。引退前に写真に残しておく」といったら「そう焦ることはない。引退は一週間、一ヶ月、あるいは一年延期になる可能性もあるから」と。結局冗談で一安心。(日曜ではなく木曜に撮ったので客はまばらです)