坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

モービル・ウォーター・スタンドとは?

去年のカンヤ村滞在でわかったことに、今まで村は湧き水をベースに水道をまかなっていたのだが、ヨーロッパの基準が厳しくなって村の水は砒素の含有量で安全基準にひっかかるようになった。村の財源では施設も作れないので水道会社に水を賄ってもらわねばならなくなる。今までただ同様だった水が急に高いものになる。安全基準は毎日同じ水を多量に飲んだことを前提にできているが、水道の消費の多くはシャワーとかトイレなどだから村びとには全く割があわない。とはいっても砒素の発ガン性は公然の事実で、第三世界では何百万の人の命が失われる原因になっている。先進国の環境政策の矛盾に言及しながらもやはり「安全な水にアクセスできる特権を喜ばしいと思わねば、、、」というメッセージを発しつつ水をポンプするスタンドです。モービルはモービル石油の駄洒落だが、水が石油同様貴重なものとなることを暗示。マークとしては"O"を水の滴型にする。コンセプトはしっかりしているがどう言う形で作るかはまだ模索中で、だから村長さんもポンプを探してくれているわけ。

パリの井戸と同様、一つの水源をもとに意外な形でもっとグローバルな「水」の問題を提起する作品で、個人的には非常に重要なプロジェクトです。