坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

耐え難き存在の軽さ

ニースの展覧会の設置に出かけ、帰りがけのエクサン・プロヴァンス地震の事を知った。それから何人ものパリの友達が電話をかけて来た。「身近の人を地震で亡くしたかもしれない」という人に消息を聞く電話をするのはかなり度胸(?)もしくは心の準備がいるものだ。日本の地理を知る人には私の家族が災害に巻き込まれた可能性はまずないと考えられるだろうが、普通のフランス人にとってはそうではない。だから有り難いことだと思う。
パリに戻ってメールを開けると同様なメッセージが幾つもあった。電話と違ってメールを送るのは思わぬ状況に面と向かい合うことはないから全く度胸はいらない。だがそれに逆に答えないと心配させることになるかもしれないのですぐに返事を書いたのだが、その返事が知合いに転送されていることがわかった。かつ「エイゾウに支援を送ろう」というメッセージ付きで(1通それで支援メールをもらったので)。私は何の被害も、かつ世界中で津波の映像を見た人以上のショックも受けていないので、支援される必要など到底なく、苛立ってしまった。インターネットを軽々とサーフする若い人は本当に奇怪なことをする。

日曜のTVニュースは当然ながら日本の地震がほぼ大半を占め、それからリビアでのカダフィ軍の進行(状況、時代、全く比較にならないが、パリ・コミューンを制圧したヴェルサイユ軍の進行を思い出す。先々週の反乱軍に、戦線を張って対抗しようとする素朴さを見たからか?) ラグビーのフランスチームは勝ち星をあげたことのないイタリアに敗戦、パリ近郊では若者がグループのつば競り合いで死亡。それに自動車ルノー社のスパイ騒ぎ。全部見終えた結果は「なんてこった」としか言い様のない私が残った。
ここでニースの展覧会の事を続けるともっと存在が軽くなるのでまた次回。