坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

実話クルーズの騎士

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決まったスタイルのない坂田英三とはいえ、懸命なる読者の方は私が騎馬像を造ったことに疑問を感じられるに違いない。実際これは私も理屈を付けがたい作品なのだ。
イデアのそもそもはブルターニュ地方の「逆流」というテーマで、川、池の水面に作品を作るフェスティバルの公募。同地方は乳牛業が盛んだが、近来乳製品産業の圧力のもと、牛乳価格が落下の一途で生産価格割れを起こしているという農家の絶望的状況をふまえ、開催地がアーサー王の「円卓の騎士」の伝説のブロセリアンドの森であったので、ミルクパッケージの騎士が流れを遡っている像を提案した。これはほぼ絶対と自信を持っていた企画だったが落選、その後クルーズでの企画で現地視察に行ったもののアイデアがなく、中世のテンプラー騎士団の歴史のある町というだけの関係(これはフランスの田舎ならどこでもよいような関係)で横流し的に提案。第一次審査用の資料は私のポリシーの現地プランで矛盾もはなはだしいから、はねられるはずだったのが受け入れられてしまった。(この辺の経緯は1/13,27,30日参考)
ローマの名所のミケランジェロ自身が設計したカンピドリオの丘にあるアウレリウス帝の騎馬像を始め、ヴェルサイユルイ14世、ポンヌフのアンリ4世、オルレアンのジャンヌダルク、、、ヨーロッパの広場の彫刻は圧倒的に騎馬像が多い。つまりヨーロッパでは騎馬像などというのはまったく陳腐きわまりないもの。だから結局はそれをいかに料理するかという造形的興味だけからの制作であった。