坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

アンリ・カルチエ・ブレッソン展

Henri Cartier BRESSON は私が説明をするまでもない巨匠中の巨匠写真家。ビートルズを知らなくてもビートルズ曲を知っているように、彼の名を覚えていなくとも幾つもの写真を誰でも知っている。ポーズをとらせた「やらせ」の写真でないのに見事に決まっていて、イメージが頭に焼き付く。マルチン・パーのコレクションにも一点、私が大好きなピクニックの写真が入っていた。

全然知らなかったのだが一昨日にご飯に呼んでくれた友人夫婦にパリ市立美術館で展覧会をしていると教えられ、即昨日見に行った。これが変な美術展で、ブレッソン自身が自分のベストを選んで1975年に開かれた巡回回顧展の復元なのだ。復元というだけあってプリントもカートンボードに貼った素朴なその時と同じもの。プリントの肌理は心持ち荒い感じ、カートンボードの縁が傷んでいたりする(これらすべてはブレッソンが80年代にパリ市美術館への寄贈した)。昔はこのプリントサイズは大きく、このシンプルな展示も珍しかったのかもしれないなーと思いつつノスタルジックな感に浸らされた。
70点ばかりの展示作品は超有名のものばかり。素晴らしい展覧会と言えばそれはそうなのだが、完全な「復元展」というのは美術館の企画としては余りにも安易では? アメリカに発つ前に是非とイソイソと足を運んだからか、妙な欲求不満が残った。