坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

パトリック・ブラン

近年「植物の壁」を作って脚光をあびているパトリック・ブランの展覧会を見に行った。多分愛知万博のフランス館にも作ったと思うし金沢の現代美術館にも? ケ・ブランリ(第一アート)の事務所の壁にも。彼は仏国立研究所の本当の植物学者で垂直な花壇作りはホビーだったそうだ(今はその特許も取っちゃった)。熱帯のジャングルの低木草類の専門家。
ジャングルの植物は高エネルギー型と低エネルギーに分かれる。前者は降り注ぐ太陽エネルギーを求める高く伸びる、急成長路線。陽光を奪い合う熾烈な競争者社会で、結局植物の多様性は少ない。後者はうっそうとしたジャングルにやっととどく光(1%に満たない)で生きる低成長路線。各々の植物が様々な厳しい環境に何とか適応しており、多様性が豊かな世界だそうだ。以上受け売りだが、彼は後者の研究家なわけで、そうした植物を展覧会で紹介。入り口には、展覧会が電気ガス公社の財団で開催されているからか、電気配線ようの太いプラスチックを使ってトンネルをつくり洞窟の僅かな光を求めて吊り下がって生きる植物たちを紹介。2階には熱帯のせせらぎの急流に生きる海藻のような水生植物を、水を勢いよく循環させたプラスチックチューブを使って見せている。(写真が撮れたらわかりやすかったのですがね)
これがアートの展示なのか博物学の展示なのかというのは私の興味の前では問題にならないが、エスティックなプレゼンテーションと哲学(思考)性を感じさせること、かつ新規性が十分にあったので彼はフランスを代表する現代アーティストになってしまった。結構結構。
ところで間違えたことを書かない様にと小パンフレットを見ていたら、あれれれ?地下にも展示があったみたい。これだからなあ。