坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

ジャック・シラク

昨日今日とジャック・シラクが秘書官から大統領になるまでの全4時間のドキュメンタリーが放映された。昨日が82年のミテラン当選まで。今日はそれ以降で、私がフランスに来てからの歴史を辿ってくれたようで懐かしいような気もしながらみていたが、シラクの風見鶏的な発言は見る(聞く)にあまったものの、彼はすでに右の統率者であったから昨日のその地位につくまでのそれまでのマキャヴェリックな行動のすさまじさまでは知らなかった。例えば75年の大統領選で1次投票でシラクは落ち、ジスカールとミテランが残った時落選宣言で「私は2次にジスカールに投票するが私の支持者は自由」と発言(普通は明らかな投票指示をするものです)、かつ裏でミテランへの投票を示唆する回覧を回しており、インタビューを受けた政治家全員「もちろんシラク支持者の多くはミテランに投票した」と言っていた。こうしてジスカールを失脚し自分のための7年後の地ならしをした。政治的運命を奪われたのはジスカールは代表的な一例にすぎない。まさに遮る敵はすべて切り倒した。というと剣客のようでかっこいいが、こっけいにさえ見えるのは状況によって意見がころりと変わるところ。政治的信条がない。葬られた政治家がインタビューを受けているから批判は痛烈。現職大統領に対してこんなに厳しい番組を国営テレビがゴールデンアワー流していいのかねと思うほどで、久々にフランスのテレビらしい番組だった。しかし多くの仏人が知るこの事実にもかかわらず国民が大統領に選んだのは、仏人は政治はそうしたゲームと醒めているからか大衆操作にきわめて弱いのか?