坂田英三 旧ブログ

2013年までのブログです

バカンスはパラダイス

朝市に行くと大変な人出、私の八百屋さんには長蛇ができ、少なくとも15分ぐらいは待たされそう。「待ってるなんてイライラする」と連れ合いに文句を言う人間がいそうな状況なのだが、今日はみなさんのんびりおしゃべり。実は行列はバカンスが終った人々の社交場と化していた。バカンスしてない私は逆にイライラ。2分ほどしても進みがないのでさっさと列を立ち去った。

フランスでは1年は9月に始まる。つまり学校の年度がこの月に始まるので、就職や転勤での新しい職場もこの月からが多い。私は日本で生まれ育ったからか、このリズムが苦手だ。やはり自然が息吹出す春に物事が始まり寒い冬で終る方が、生命の循環サイクルにかなっていて、夢があると言うか、新しいシーズンのスタートがしやすい。パリの気候では、今や爽やかな夏が終わり、雨の多い秋が始まり、うっとおしい冬がすぐにやってくる。こうと思うともう私は意気消沈して新たなスタートなんて気分にならないのだが、西洋人がこのリズムで生きるのはキリスト教の所為ではないかと最近思い及んだ。
「良きキリスト教徒」にとっては死は「救済」である、現世でいくら苦しんでも神様があの世で救って下さる、だから人生の苦難に耐えられる。フランス語のトラバーユ(仕事)の語源は「苦」につながるが、その苦しい仕事の果てに待っているのが、、、夏のバカンス! つまりバカンスは救済!パラダイスなのだ。だから今からはパラダイスを目指しての11ヵ月。こういう考え方ができると言うことは、意外に辛抱強い人達だ(日本人の方がよっぽど辛抱強いから私の仮説の誤り? あるいは日本人は辛抱を越えた諦観?)。何れにせよ私は欲しいものからつつくキリギリスだから、とうてい「良きキリスト教徒」になれないし、9月スタートも月曜はじまりのカレンダーも好きになれない。